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マンハッタン・イン・ブルー/MALTA
MANHATTAN IN BLUE
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日本フュージョン・シーンをリードしたMALTAがデビュー20周年を迎え、初の王道JAZZアルバムをニューヨークで録音!
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swing jounal 2004.2 P138
「ジャズマン」MALTAの新生の瞬間の記録である
MALTAのアルト・サックスの響きが,これほどの深さで私の耳に届いたのは,初めてのことではないかと思う。名手ジム・アンダーソンによる「2チャンネル・ハーフ・インチ・アナログ・ダイレクト・レコーディング」という録音方式の成功とも相まって,アルト・サックスの音なのに,テナーにも似た分厚い肉感を帯びて聞こえ,エロティックともいえるような官能性を感じさせる。フュージョンのメカニカルなリズムに乗って軽々と吹きまくるMALTAとは,ほとんど別人のおもむきがある。聞けば,プロ・デビュー以来早くも20年になるものの,本格的なリアル・ジャズで全篇をとおしたアルバムはこれが最初の作品になるという。それだけに,なにはともあれジャズの「音」に賭けようという意気込みが伝わってくる。まずは直球勝負である。冒頭曲は,ビリー・ホリデイの『レディ・イン・サテン」の絶唱でジャズ・ファンの耳に永久にこびりついて離れない〈恋は愚かというけれど〉(ぜひともこの邦題で声に出して記憶されるべきだ)。これがあのMALTAなのか。ブラインド・フォールド・テストで当てられる人はまずいないだろう。有名なテーマを飾らずに演奏するバラードだが,わずかにまっすぐなメロディを上下にふるわせ,あるいは左右にゆすりたてるような吹奏に独特の個性がある。ラストのカデンツァ風の処理も決まっている。2曲目も凄味のあるバラードだ。よく似た曲調でつけるとは,こうしたブルージーな嘆き節によほど自信があると見た。じっさい,こんなにストレートな「泣き」を正面からぶつけてくるプレイは昨今稀であり,通俗におちいらずに,確かな説得力をもった感情表現に昇華することに成功している。3曲目もバラードだが,若干ニュアンスが変わる。アルトのすすり泣きのなかに,スタンダード・ソングの軽やかな優雅さがいりまじるのだ。1,2曲目とのこの微妙な差異の演出に,「ジャズマン」としてのMALTAの成熟を見ることができよう。Cはお気に入りのオリジナル曲。ここでようやくすこしテンポを上げるのだが,こってりとしたブルース風味は変わらない。Dは,チャーリー・パーカーの名演で知られるスタンダードをボサノバのリズムで処理している。だが,フュージョン風の機械的な展開ではなく,余裕綽綽の歌いっぷりである。Eは自作のブルースで,これはもうお手のものの演奏だ。Fは,@と並んでビリーの記憶がこだまするバラード。Gの軽快にして感傷的なバカラックの名曲を挟んで,最後のHもまた重厚なバラード吹奏で幕を閉じる。バラードを主体にして,MALTAの堂々たる一人舞台だが,リズム隊の健闘,なかんずく,今年早々70歳の大台に達したベテラン,シダー・ウォルトンの底力のあるピアノに注目すべきである。MALTAの強烈なエモーションの表出につかず離れず,クールな響きで,四重奏としての演奏全体に,じつに的確なバランスをあたえている。ともあれ,「ジャズマン」MALTAの新生の瞬聞の記録である。(中条省平)
Usen C50 2004.2.16 No2
| 0:43:02 |
『MANHATTAN IN BLUE』 |
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| 0:05:13 |
I'M A FOOL TO WANT YOU |
MALTA |
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| 0:05:32 |
CRY ME A RIVER |
MALTA |
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| 0:04:24 |
I MISS YOU SO |
MALTA |
VICT-61166 |
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| 0:07:12 |
MANHATTAN IN BLUE |
MALTA |
VICT-61166 |
104 |
| 0:04:43 |
I REMEMBER YOU |
MALTA |
VICT-61166 |
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| 0:05:00 |
BAY STREET BLUES |
MALTA |
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GOD BLESS THE CHILD |
MALTA |
VICT-61166 |
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| 0:05:24 |
THE LOOK OF LOVE |
MALTA |
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